11月2日午前8時13分、京成上野発成田空港行きのスカイライナーでこの旅は始まった。
スカイライナーは相変わらず快適で、ほんの45分で空港第二ターミナルに到着した。
今回のフライトはエミレーツ航空による成田11時55分発、ドバイ経由、ケープタウン行きだ。
シャーとの待ち合わせは9時半であったが、少し早く着いた私はエミレーツのチェックインカウンターを探していた。
いくら探してもみつからないので案内所で聞いてみると、なんと21時20分発との事。いきなりパキスタンの洗礼をかまされた。
こうして成田で12時間待つこととなった。
少し遅れてシャーが父親のフセイン・シャー氏と現れた。
ここで、この旅の目的を根幹から揺るがす問題を知ることになる。
パキスタン柔道連盟のスタッフがビザの関係で現地にいかないとの事だ。それは一行に構わないのだが、現地時間11月2日正午までにエントリーを済ませ、14時に抽選が行われるのだが、我々がケープタウン空港に到着するのが17時20分という事であった。すなわちエントリーできずに試合に出られないという事である。
ここから我々日本人スタッフ(安田学園川合先生、鮫島コーチ)との地球の裏側への、当事者不在の壮大なエントリー作戦が始まった。
相変わらずパキスタン柔道連盟のマスードはいい加減で、連絡がつかない。行ってダメでしたならいかない方がいいわけで、当事者がいなければダメなのか、いなくてもなんとかなるのかの確認だけでも取りたいところであった。幸い成田での待ち時間は12時間ある。
息子が心配で仕方が無い、フセイン・シャー氏をなだめ、なんとか京成に乗せて東京に帰らせた。パスポートは先生に預けておけと50回くらい言っていた。
こうなったらジタバタしても仕方が無いので川合先生と鮫島コーチに後は任せ、まずは腹ごしらえ。イスラム教徒で食事の制限があるシャーは、あれはダメ、これはダメ。これは大丈夫と言ったのが寿司屋。まあ、これからしばらく食えないからイイやとカウンターに座った。
それでも10時間ほど時間がある。空港にいてもやる事が無いので、成田市街に出かけてみた。まずは成田山新勝寺。イスラム教徒がお祈りするのはどうかとか細かい事は抜きにして必勝祈願。おみくじは半吉と初めて見るものだった。微妙。。。
それでも時間があるので、映画でもみるかという事で、猿の惑星を。
そして空港に戻りなんとかチェックイン。
この時点ではIJFとはコンタクトできずに、メールとFAXで伝言をしているのみであった。そしてマスードにはいまだ連絡はつかない。
はたしてエントリーできるのか、試合には出られるのか。
最大の不安を抱えたままエミレーツ航空EK319便はドバイに向けて飛び立ったのである。